
レンタルサーバーのマルチドメインとは、1つのサーバーで複数のドメインを運用できる機能です。マルチドメインにはメリットもありますが、押さえておきたい注意点も少なくありません。
本記事では、マルチドメインの概要とメリット・デメリットを解説します。レンタルサーバーでのホームページ運用を検討している人は、ぜひ役立ててください。
そもそもドメインとは

ドメインとは、インターネット上の住所です。例えば、URLが「https://sample.com」だった場合は、sample.comがドメインです。レンタルサーバーでホームページを構築するためには、1つ以上の独自ドメインを取得しなければなりません。
多くのレンタルサーバーは、1つのサーバーで複数のドメインが使えるマルチドメインに対応しています。例えば、cat.com、dog.comという2つのドメインを取得して、1つのサーバー上に猫と犬に関連するホームページを別々に構築したい場合などに役立ちます。
マルチドメインに対応しているレンタルサーバー
レンタルサーバーの多くはマルチドメインに対応していますが、ドメイン数に制限があるサービスも少なくありません。以下で、主なレンタルサーバーのドメイン数を紹介します。情報はすべて2022年1月24日時点です。
・エックスサーバー(エックスサーバー):無制限・お名前.comレンタルサーバー(GMOインターネット):無制限・さくらのレンタルサーバ(さくらインターネット):ライトプラン20個、スタンダードプラン200個、プレミアムプラン300個など
・ColorfulBox(カラフルラボ):無制限
・ロリポップ(GMOペパボ株式会社):エコノミー50個、ライト100個、スタンダード200個など
・ConoHa WING(GMOインターネット):無制限
マルチドメインのメリット
マルチドメインの主なメリットは以下のとおりです。
・レンタルサーバー費用を抑えられる
・テーマ別にホームページを構築できる
・他のホームページの悪影響を受けない
・SEOの効果が見込めるマルチドメインを活用すればホームページごとにレンタルサーバーを借りる必要がないため、コストを抑えられます。テーマに合ったデザイン・構造のホームページを別々に構築できる点もメリットです。
ホームページ同士がそれぞれ独立しているため、1つのホームページでトラブルが起こっても他のページに影響しません。さらに、ホームページが検索エンジンに評価されれば、検索上位に複数の自社ページを同時にランクインさせることも可能です。
マルチドメインのデメリット
マルチドメインの主なデメリットは以下のとおりです。
・ホームページの管理や育成に手間がかかる
・ドメインやSSL証明書の取得に費用がかかる
・容量が不足する可能性があるマルチドメインでは、ドメインごとにメンテナンス作業が発生します。ホームページの評価を高めるための施策も個別に取らなければなりません。そもそも、レンタルサーバーで借りられる容量には通常上限があるため、ホームページが成長すると将来的に容量が不足するおそれも出てきます。
ドメイン費用はもとより、SSL証明書の取得費用が個別にかかる点も問題です。SSL証明書には無料と有料があり、暗号化の仕組みは変わりません。ただし、より信頼性の高いEV(Extended Validation)認証を取得する際には、数万~十数万円前後の費用が発生します。
サブドメインとは
ホームページのドメイン運用には、マルチドメインではなくサブドメインやサブディレクトリを使う方法もあります。サブドメインとは、メインドメインの配下に複数の子ドメインを作る方法です。例えば、sample.comの配下に、cat.sample.com、dog.sample.com、rabbit.sample.comなどを構築する方法がこれに該当します。
サブドメインには、レンタルサーバーの領域が別々に割り当てられます。マルチドメイン数に制限があるレンタルサーバーでは、通常サブドメイン数にも制限があるため、注意しましょう。サブドメインを利用すると、ブランディングの効果が見込めます。
ドメイン同士の関連性がわかりやすく、メインドメインの評価が上がっていればサブドメインも利用者に信用されやすいためです。ドメインのトラブルが他のドメインに影響しない点も魅力です。ドメインが1つで済むため、ドメイン費用も抑えられます。
ただし、SSL証明書はそれぞれ必要です。検索エンジンはサブドメインを個別のホームページとして認識するため、新しいサブドメインを作った場合は評価を一から上げなければなりません。さらに、Google検索では同じドメインからの表示が2件までに制限されています。
「同じドメイン」にはサブドメインも含まれるため、注意が必要です。一方のサブディレクトリとは、ドメインの配下にディレクトリを作る方法です。例えば、sample.comの配下に、sample.com/cat、sample.com/dogを構築する方法などが該当します。
管理や作成が容易でコストが抑えやすい点はメリットですが、上位ドメインを削除すると配下のディレクトリはすべて削除されます。サブディレクトリを増やしすぎると、コンテンツ管理が複雑になりやすい点にも注意しましょう。
ドメインは安易に変更できない!

ドメインやコンテンツの評価が上がるまでには、一定の費用や時間がかかります。しかし、何も対策をせずにドメインやディレクトリを安易に変えると、評価が低下して検索順位が大幅に下がる可能性があります。ドメインやディレクトリを変えるとURLが変わり、検索エンジンに別のページだと認識されてしまうためです。
ドメインやディレクトリを決める際には、スペルミスがないかどうか、内容が伝わりやすいかどうかにも留意する必要があります。例えば、ドメインには日本語も使えます。日本国内での視認性は高く、内容がわかりやすい点はメリットですが、海外ユーザーには十分な効果が見込めません。
ブラウザ以外でURLを扱う際に、ピュニコードに変換される点にも注意しましょう。ピュニコードとは、国際化ドメイン名で使われる文字符号化方式です。例えば、「日本語.jp」は 「xn--wgv71a119e.jp」と表示されます。
ドメインやディレクトリは簡単には変更できないため、ホームページのターゲットや盛り込むコンテンツを明確化したうえで慎重に決めましょう。
マルチドメインのメリットとデメリットを押さえて自分に合った運用をしよう
ブログやECサイトなどのホームページを作成する際には、あらかじめドメイン運用の方法を決めておく必要があります。マルチドメインとサブドメイン、サブディレクトリの特徴やメリット・デメリットを把握して、自分に合う方法を選びましょう。
レンタルサーバーのなかには、一定期間お試し利用ができるサービスもあります。本運用の前に上手に活用して、使い勝手を確認してみてはいかがでしょうか。